2005-01-01から1年間の記事一覧

始祖鳥記 飯嶋和一

★★★★★ お上のやることは今も昔も変わらんってことだな。 ってなんかピント外れな感想だ。 幸吉が飛ぶとこより、塩商いの話の方が面白かったりして。

時生 東野圭吾

★★★ 子供を持つ親にはたまらん設定かも。 オチはわかっているのに、ここまで読ませるのはさすがです。 でも、やっぱり子供は親より長生きしなきゃ。なので星は三つ。

少年時代 ロバート・R・マキャモン

★★★★☆ マキャモン版スタンドバイミーといった趣だが、こっちの方が爽やか。 主人公の少年が先生と喧嘩して、両親にものすごく怒られるんだけど、少年の言い分は全く聞いてもらえないというシーンを読んでしきりに反省。私もこれやってるよなぁ。もっと子供の…

三月は深き紅の淵を 恩田陸

★★★★☆ なんといってもタイトルが秀逸。ミステリアスで何故かぞくっとする。幻の本をめぐる複数の物語という設定も、本好きにはたまらない。第4章は、ちょっとタイトルに引きずられて懲りすぎてるような気がしないでもないが、作者の人物像が垣間見えてくる…

魍魎の匣 京極夏彦

★★★★☆ 高くつくのは分かってるけど、電車で読みやすそうなんでついつい分冊版を買ってしまった。なんか無駄遣いしてる気がするけど、面白かったからいいや。 にしても、関口君は察し悪すぎ、まぁワトソン役だから仕方ないかとも思うけど、あまりにも鈍くって…

終戦のローレライ 福井晴敏

★★★★ 非常に重いテーマであるにもかかわらず、爽快感を感じさせるのは、スピーディな展開と魅力的なキャラクターたちのなせる技か。勧善懲悪ではなく、どちら側のキャラクターも自分の生き方を信じつつも、他者との繋がりを求める脆さを兼ね備えているところ…

血と骨 梁石日

★★★★ 金俊平のあまりにも孤独で破壊的な人物像にはただただ圧倒されるばかり。自分の生き方について、家族について、いやでも考えさせられる。読後も重苦しさが残る。その背景にある在日コリアンの実情も興味深い。同じ日本に居ながら、これだけ離れた社会が…

重力ピエロ 伊坂幸太郎

★★★☆ ストーリー的には、先が読める展開で、これといって驚きはなかったけど、とにかく会話が良い。ウィットに富んでいて、映画の脚本のよう。思わずニヤリとさせられる。 競馬のシーンにはジーンときた。そうだよねぇ。やっぱその馬選ぶよねぇ。わかるわか…

博士の愛した数式 小川洋子

★★★★ 忘れたくないのに忘れてしまう博士、忘れてほしくないのに忘れられてしまう私とルート。だが3人の関係は、その寂しさ、せつなさ以上に暖かいものが溢れていて心地よい。 ただの数字が、あたかも人格を持っているかのように感じさせる作者の筆力がすばら…

航路 コニー・ウィリス

★★★★★ 夢中になって一気に読んでしまった。かなり長い話なのに、それを感じさせない語りのうまさのせいか。(もちろん訳者がうまいおがげもあると思うけど)。前半は、「犬は勘定に入れません」でも発揮されていた、コメディタッチの会話や、お約束のドタバタ…

シービスケット―あるアメリカ競走馬の伝説 ローラ・ヒレンブランド

★★★★★ 相次ぐ故障やトラブルに悩まされながらも、走ることをやめないシービスケットの姿、さらに、騎手や調教師、その他彼を取り巻く人たちの馬に対する思いが胸を打つ。 実力を知られて、重い斤量を課せられるのを避けるため、調教師のスミスがマスコミを出…

奇巌城 (講談社文庫) 逢坂剛

★★★★☆ 逢坂ルパンってことで、20年ぶりに奇巌城を手にとってみたが、さすがに読みやすい。ルパンシリーズのワクワク感を損なわず古臭さが改善されたって感じ。シリーズ化してくれるとうれしいな。 それにしても、20年前はあんなに面白いと思ったはずなのに、…

ダ・ヴィンチ・コード ダン・ブラウン

★★★★ 謎解きと史実をうまく絡めていて、追いつ追われつドーバー海峡もひとっ飛び。まさにハリウッド的エンターテイメントって感じ。読みやすいし、ベストセラーになるのもまぁ頷ける。でもタイトルの割には、ダヴィンチとのつながりがそれほど深くなかったな…

家族狩り (新潮ミステリー倶楽部) 天童荒太

★★★☆ 冒頭のスプラッタな描写が強烈で、これはちと勘弁してほしいなぁと思った。ひどいのは最初だけではあるけど、これで挫折する人もいるかも。 そもそも暗いテーマの話だが、心に重くのしかかるようなラストシーンが特に印象的。