ジョン平とぼくと 大西科学

★★★★ この手の本には、今まで縁がなかったので、買うのにちと勇気が要りました。 魔法使いのいる世界に科学を持ち込むあたりが、さすが大西さんという感じ。 ジョン平の特殊能力については、おいおい明らかになるのかしら?気になるところです。

神無き月十番目の夜 飯嶋和一

★★★★★ 小生瀬の人たちの運命がわかっていながら読み進めるのは、とてもつらかった。藤九郎が何とか村を救おうと苦心する程、事態は悪いほうに転がってしまい、読んでいると怒りや悲しみで胸が苦しくなってくる。でも読まずにはいられない。そんな引力を感じ…

告白 町田康

★★★★ はて、熊太郎は極度に思弁的ということらしいけど、考えてることがうまく言葉にできないなんて、よくあることのような気がする。思ったままを口にして生きてる人なんてそうそういないでしょう。私も、「はたしてこれが自分の本心なんだろうか?」とかよ…

ベルカ、吠えないのか? 古川日出男

★★★★★ 主人である人間に翻弄されながらも、野生の本能を目覚めさせていく犬たちがかっこいい。 犬の歴史を通して人間の歴史が描かれているところが新鮮。

陽気なギャングの日常と襲撃 伊坂幸太郎

★★★★ 来ましたねぇ、続編。 これだけ濃いキャラ揃えて一冊で終わったらもったいないしね。相変わらずの惚けた会話が楽しい。展開には無理があるけど、そんなことはどうでもいいのさ。

魔女は夜ささやく ロバート・R・マキャモン

★★★★ ラストのビドウェル氏の変わりようが、都合よすぎてちょっと不満。でもまぁなんだかんだあっても、最後は「ええ話やわぁ」と思えるところが好きだな、この作者。 相変わらずの寡作っぷりで次がでる気配がないんだけど、やっぱ引退なのかなぁ。もったい…

ワイルド・ソウル 垣根涼介

★★★★ テーマがテーマだけに重苦しい話なのかと思ったら、ラテン系キャラのおかげでうまい具合にエンターテイメントになってるところが予想外で良かった。 事件が起こるまでが長かったから、いったいどんなことをやらかすのかとかなり期待したんだけど、蓋を…

第三の時効 横山秀夫

★★★★ 長編も面白いけど、やっぱりこの人は短編が断然良い。 登場人物達のぶつかり合いや葛藤、緊張感がストーリーと相まって絶妙の効果を発揮してると思う。 本格とはちょっと違うけど、読ませるミステリという感じ。

空飛ぶ馬 北村薫

★★★★★ 実は北村薫初挑戦なんですが、まさかこんなに面白いとは。 ひさびさにうーんと唸らせるミステリを読んだ気がする。 しかも文章がとても綺麗で、主人公やその周りの人たちもとてもいい感じ。 これははまるかも。

イン・ザ・プール 奥田英朗

★★★ 天然なのか、意図してるのかよくわからない伊良部のキャラが、面白いんだけど、いまいち好きになれない。 笑えることは笑えるんだけど、展開がワンパターンだし。 読ませるし、うまいなぁとは思うけど、さほど印象には残らないって感じです。

銀河ヒッチハイク・ガイド ダグラス・アダムス

★★★★☆ いくらでもSF超大作に出来そうなストーリーを、コメディにしちゃってるところが何とも贅沢でいい。こういうばかばかしいお笑いって大好きです。

クリスマスのフロスト R.D ウィングフィールド

★★★☆ ありがちなキャラではあるけど、フロストのだらしなさっぷりが愉快な一冊。次から次へと事件が起こるので、結構長いけど飽きずに読める。 ただ、メインの事件については、勘を頼りに行き当たりばったりに行動したら、偶然解決にぶち当たっちゃったって…

レキオス 池上永一

★★★★☆ うわぁ、とにかくものすごい小説。でもせっかくこれだけ壮大な話なんだから、もっと書き込んだ方が良かったんじゃないかな、という気がする。場面の切り替わりが唐突過ぎて、「え、いつの間に?」と置いていかれることしばしば。って私がついていけて…

川の深さは 福井晴敏

★★★★ 熱い男たちのドラマは実質デビュー作でも健在です。おじさま方が好きそうなテーマだよねー。いや、勿論私も好きなんですが。 ちなみに私の場合川の深さは腰まででした。

私が殺した少女 原りょう

★★★☆ 以前から気になってはいたんだけど、タイトルのせいで何となくしり込みしてた本。しかし、読んでみると意外と軽いタッチの話だし、主人公も憎めないキャラで結構楽しめた。でも落ちはちょっと無理があるかな。

始祖鳥記 飯嶋和一

★★★★★ お上のやることは今も昔も変わらんってことだな。 ってなんかピント外れな感想だ。 幸吉が飛ぶとこより、塩商いの話の方が面白かったりして。

時生 東野圭吾

★★★ 子供を持つ親にはたまらん設定かも。 オチはわかっているのに、ここまで読ませるのはさすがです。 でも、やっぱり子供は親より長生きしなきゃ。なので星は三つ。

少年時代 ロバート・R・マキャモン

★★★★☆ マキャモン版スタンドバイミーといった趣だが、こっちの方が爽やか。 主人公の少年が先生と喧嘩して、両親にものすごく怒られるんだけど、少年の言い分は全く聞いてもらえないというシーンを読んでしきりに反省。私もこれやってるよなぁ。もっと子供の…

三月は深き紅の淵を 恩田陸

★★★★☆ なんといってもタイトルが秀逸。ミステリアスで何故かぞくっとする。幻の本をめぐる複数の物語という設定も、本好きにはたまらない。第4章は、ちょっとタイトルに引きずられて懲りすぎてるような気がしないでもないが、作者の人物像が垣間見えてくる…

魍魎の匣 京極夏彦

★★★★☆ 高くつくのは分かってるけど、電車で読みやすそうなんでついつい分冊版を買ってしまった。なんか無駄遣いしてる気がするけど、面白かったからいいや。 にしても、関口君は察し悪すぎ、まぁワトソン役だから仕方ないかとも思うけど、あまりにも鈍くって…

終戦のローレライ 福井晴敏

★★★★ 非常に重いテーマであるにもかかわらず、爽快感を感じさせるのは、スピーディな展開と魅力的なキャラクターたちのなせる技か。勧善懲悪ではなく、どちら側のキャラクターも自分の生き方を信じつつも、他者との繋がりを求める脆さを兼ね備えているところ…

血と骨 梁石日

★★★★ 金俊平のあまりにも孤独で破壊的な人物像にはただただ圧倒されるばかり。自分の生き方について、家族について、いやでも考えさせられる。読後も重苦しさが残る。その背景にある在日コリアンの実情も興味深い。同じ日本に居ながら、これだけ離れた社会が…

重力ピエロ 伊坂幸太郎

★★★☆ ストーリー的には、先が読める展開で、これといって驚きはなかったけど、とにかく会話が良い。ウィットに富んでいて、映画の脚本のよう。思わずニヤリとさせられる。 競馬のシーンにはジーンときた。そうだよねぇ。やっぱその馬選ぶよねぇ。わかるわか…

博士の愛した数式 小川洋子

★★★★ 忘れたくないのに忘れてしまう博士、忘れてほしくないのに忘れられてしまう私とルート。だが3人の関係は、その寂しさ、せつなさ以上に暖かいものが溢れていて心地よい。 ただの数字が、あたかも人格を持っているかのように感じさせる作者の筆力がすばら…

航路 コニー・ウィリス

★★★★★ 夢中になって一気に読んでしまった。かなり長い話なのに、それを感じさせない語りのうまさのせいか。(もちろん訳者がうまいおがげもあると思うけど)。前半は、「犬は勘定に入れません」でも発揮されていた、コメディタッチの会話や、お約束のドタバタ…

シービスケット―あるアメリカ競走馬の伝説 ローラ・ヒレンブランド

★★★★★ 相次ぐ故障やトラブルに悩まされながらも、走ることをやめないシービスケットの姿、さらに、騎手や調教師、その他彼を取り巻く人たちの馬に対する思いが胸を打つ。 実力を知られて、重い斤量を課せられるのを避けるため、調教師のスミスがマスコミを出…

奇巌城 (講談社文庫) 逢坂剛

★★★★☆ 逢坂ルパンってことで、20年ぶりに奇巌城を手にとってみたが、さすがに読みやすい。ルパンシリーズのワクワク感を損なわず古臭さが改善されたって感じ。シリーズ化してくれるとうれしいな。 それにしても、20年前はあんなに面白いと思ったはずなのに、…

ダ・ヴィンチ・コード ダン・ブラウン

★★★★ 謎解きと史実をうまく絡めていて、追いつ追われつドーバー海峡もひとっ飛び。まさにハリウッド的エンターテイメントって感じ。読みやすいし、ベストセラーになるのもまぁ頷ける。でもタイトルの割には、ダヴィンチとのつながりがそれほど深くなかったな…

家族狩り (新潮ミステリー倶楽部) 天童荒太

★★★☆ 冒頭のスプラッタな描写が強烈で、これはちと勘弁してほしいなぁと思った。ひどいのは最初だけではあるけど、これで挫折する人もいるかも。 そもそも暗いテーマの話だが、心に重くのしかかるようなラストシーンが特に印象的。

13階段 (講談社文庫) 高野和明

★★★★ ストーリのテンポが良い。特に終盤の方は目が離せない展開で一気に読んでしまった。 ただ、最後の三上氏の手紙がいまいち。そりゃないだろうって気がする。